物理少女まどか☆マギカ  第2回「時間遡行」編

ほむら

まどマギを題材に楽しく物理の学ぼう!物理少女まどか☆マギカのコーナー第2回です。今回は暁美ほむらの固有魔法「時間遡行」について触れてみましょう。

前回の「エントロピー」編では物理学の話が多かったですが、今回は半分くらいSF世界のお話です。

時間遡行(タイムトラベル)の理論いろいろ

現代物理学においてタイムトラベルを実現するかもしれないと予想がいくつかあるので紹介します。

(長いので閉じてあります。興味があれば開いて見て下さい…)

タイムトラベル11の理論

中性子星理論

重量の重い恒星が寿命を迎えると、自身の重力が肥大していき最終的には超新星爆発という巨大な爆発を起こす。その後、あらゆる元素が潰れ、原子よりも小さく結合力の強い中性子しか残らなくなる。相対性理論では重力が強く働くほど時間の経過はゆっくり経過するので、この中で一定時間過ごすことで数十年後の未来にタイムトラベルが可能という理論。

ただし、問題はあまりに重力が強すぎるので近づいてしまうだけでありえない小ささまで潰されてしまうこと。

ブラックホール理論

多くの人が耳にしたことがあるであろう、ブラックホールでは上で挙げた中性子理論よりも遥かに大きな超重力で光ですら脱出することができない。その表側にある領域「事象の地平面(イベント・ホライゾン)」を超えた先の密度無限大になる「特異点」ではタイムトラベルが可能な時空構造を実現する可能性がある。そして、その中では過去に戻る事が可能であると示されている。

問題点は…お察しの通り、その中どうやって生存するのか、どうやって抜け出すのかなどがあるが、中でも1番恐ろしいのはブラックホール内では主観時間が無限に引き伸ばされるので永久にイベント・ホライゾンに囚われ続けてしまうこと。こわい。ブラックホールまじ怖い。

光速理論

特殊相対性理論では、速度が上がるほど時間はゆっくり流れ、高速に達すれば内部での時間は停止する。つまりスタープラチナ

問題は正の質量を持つ物体(今の人類が干渉可能な物体)を光速まで加速させる為には無限のエネルギーが必要になるということ。

タキオン理論

上で挙げた光速理論の延長で、光速を超える物質を仮定した理論。この物質は「タキオン」と呼ばれ過去に向かって進む性質を持つとされる。ちなみにタキオンという物質の質量は虚数であるため、通常の物体がエネルギーを加えると加速する一方でタキオンはエネルギーを失うと加速するという、頭がショートしそうな性質を持つ。

問題は、そもそもそんな物質があるのか、あったとしても観測できるのかということ。

ワームホール理論

簡単に説明するとワープ。この出入り口を光の速さで移動する事で現在と過去をつなぐことができるという理論。

問題はワープする為のなにかが必要になること。

エキゾチック物質理論

上で挙げたワームホール理論を実現にするために必要となる物質。エキゾチック物質はタキオンと異なり、負の値の質量を持つ。負の値の質量であれば重力が働くほど重さがマイナスになるので…と想像するのもちょっと難しい。

問題は負の質量を持つ物質が存在するかということ。

量子重力理論

相対論と量子力学の統合を目指して考案されている理論。重力を量子化した考えで、時空や重力は連続した値ではなく点(のように独立した結晶構造)であるとされる。これえを解明することにより、ブラックホールのイベント・ホライゾンが解明されるとか…

この理論は先日6月2日に新たな発見があるなど、現在活発に研究されている。

ケンブリッジ大学の研究チームは、アインシュタインの一般相対性理論が成り立たなくなる「裸の特異点(Naked Singularity)」が、4次元時空(空間3次元+時間1次元)において存在できるとする研究結果を発表した。これまで、5次元以上の高次元空間については裸の特異点が存在する可能性が指摘されていたが、私たちの住んで...

うまく説明できないレベルで難しい…

セシウムレーザー光理論

光は波の性質を持つ。その光には群速度・位相速度というものがあり、光の群速度は光速を超えることができます。位相速度とは波自身の速度で、群速度とは複数の波を重ね合わせた時にその全体(波束)が移動する速度のこと。

群速度のイメージとしては下の画像が分かりやすいです。

groupspeed

問題は群速度は実際に情報や物質が移動したわけではないので、タイムトラベルには使用できないという事。

素粒子リング・レーザー理論

レーザーを使って「擬似的なブラックホールの外周」を形成させるというもの。この重力場で「閉じた時間軸」が発生する可能性があるという理論。

ただし、あくまで擬似的なブラックホールなので本当のブラックホールと同じ物理的特性を持つかが不明。

ディラック反粒子理論

本来負のエネルギーというものは存在しないとされているが、量子力学の基礎方程式「ディラック方程式」からは負のエネルギーを含む解がでる。負のエネルギーを持った粒子(反粒子)は、時間を逆行する存在であるとされている。反粒子は「反物質」であり、SFでもおなじみの通り、通常の物質と交わると大爆発を起こしてしまう。

反粒子があったとして、どのように扱うかが問題。

タイムトラベルを実現するための理論はいくつもありますが、基本的には光の速度に達する・超えるための理論、重力によって起こる時間の歪みを利用した理論です。

その中でも過去に戻るタイムトラベルの実現は、ワームホールの利用・ブラックホールの利用・超高速移動の3つの説があるものの、どれも実現には大きな課題があります。

また、最近ではタイムトラベルが数学的に実現が可能という証明もされたようです。

 昭和の子どもたちがワクワクした21世紀の想像図で描かれた未来よりも、2017年のテクノロジーはさらに先を行っているケースも多い。あらゆる情報を手のひらで操るスマホなどは、昭和の想像を超えて実現化されたSFガジェットの代表例のひとつであろう。しかし、古典SFの時代からありとあらゆるカタチで描かれ続け…

なかなか難しいので簡単に補足。

時間・空間の4次元を長いカマボコとしてイメージしてみましょう。この4次元カマボコはグネグネと湾曲する性質があるので、グニっと曲げると中に隙間のような空間が発生します。この隙間を通過することで時間を超えた移動が可能になるというものです。多分。

暁美ほむらの時間遡行とは

現代の科学ではタイムトラベルはまだまだ難しい事が分かりました。次はほむらのタイムトラベルがどういう性質のものか確認してみましょう。

ここからはQB先生とまどかに登場してもらいます。

まどかは質量のある物質が時間遡行をするのがどれだけ難しいのか分かったかい?

完全には理解してないけど、どれも見たこともないような物やエネルギーが必要ってことだよね。

そのとおりさ。ただ暁美ほむらは肉体のタイムトラベルはしていない。

記憶だけなら過去に戻ることが可能なのかな?

記憶はつまり情報だ。情報の伝達には伝達物質が必要になる。

それなら魂ならどうかな?

魂は21グラムと言われているけど実際は定かではないね。もし魂に質量がないなら可能性がないとは言えない。

ほむらちゃんは魂のタイムトラベルをしたんだね!

それが有力だね。ただ魂に記憶という情報を付与できるのだろうか。

矛盾しちゃいそうだね…うーん難しいよ…

まあ、そもそも君たちの魂は僕がソウルジェムにしちゃったんだけどねww

タイムマシンを開発したら実験動物になってもらうからよろしくね…

ほむらのタイムトラベルは魂という未知の物質(?)を転送させたものなので、現代科学で解明できずとも不思議ではないですね。

時間遡行による因果律の崩壊

次に、もし物理的にタイムトラベルが可能としても、それには因果律の問題が発生してしまいます。

まどかは親殺しのパラドックスというものを知ってるかい?

なんか嫌な言葉だね…

まどかがタイムトラベルをして両親を殺したとしよう

そんなことはしないって、何度でもそう言い返せます。きっといつまでも言い張れます

もし親を殺してしまった場合、まどかが生まれなくなる事は分かるね。

そんなことはしないって、何度でもそう言い返せます。きっといつまでも言い張れます

すると、まどかは存在しないわけだから親は殺されないという矛盾が発生するんだ

そんなことはしないって、何度でもそう言い返せます。きっといつまでも言い張れます

それに対して多世界解釈というものがある。つまりパラレルワールドだね。

そんなことはしないって、何度でもそう言い返せます。きっといつまでも言い張れます

……………ばーか

屋上に行こっか。久しぶりにキレちゃったよ。

多世界解釈・パラレルワールド

因果律の問題には多世界解釈で解決(?)できそうな気がします。

多世界解釈とは元々は量子力学の観測問題における解釈のひとつ。私たちの世界はいくつもの可能性が存在し、観測した時にそれはひとつの結果に収束する。これはシュレディンガーの猫の例えが有名ですね。

物理学でいう多世界解釈は「相互干渉が行えないもの」とされているので、ここではSFのパラレルワールドを例にQBさん達に議論してもらいましょう。

まどかはパラレルワールドが存在すると思うかい?

あるといいなって思ってしまうのでした。

なら暁美ほむらを例にしていくつか質問するよ

どんとこいだよ

パラレルワールドがあるとして、未来ほむら(A)が移動した先の過去ほむら(B)の意識はどこへいったんだい

ほむらちゃん(A)の元に移動しちゃったんじゃないかな

それだと、ほむら(B)は何もしてないのに意識が入れ替わった事になる。これは因果律に矛盾する。

じゃ、じゃあ…AとBの意識が一緒になっちゃったとか…

それは同じ肉体に2つの意識が存在するのか、ひとつに統合されるのか。どちらだい?

……ど、どっちでもいいんじゃないかと。

その通り、どちらにしてもほむら(B)は何もしてない事は変わらない。やはり矛盾が生じる。

じゃあ、ほむらちゃん(B)も(A)と入れ替わるタイミングで時間遡行をしたとか…

ほむらは時を止める、過去に戻るは可能だが未来へはいけないよね。

じゃあ、ほむらちゃん(C)がいるとして…

ほむらはCもないじゃないか

今の発言はまずかったよキュウべえ…どうかしてるよ

qbqb

パラレルワールドの議論はいくつもありますが、大抵の場合「矛盾がないような世界に分岐する」といった結論になります。パラレルワールドを完全に否定するのは難しそうですね。

まとめ

時間遡行・タイムトラベルは多くの作品で扱われているテーマなだけに詳しい人も多いのではないでしょうか?

現代科学では、タイムトラベルの実現が可能という理論はいくつもありますが実現には至っていません。人類がタイムトラベルを可能にする日が来るのかは誰にも分かりません。

最後にカオスチャイルドの中で面白いフレーズがあったので紹介します。

カントの『右手と左手の話』に、ウィトゲンシュタインが反論した話は知っているか
頭と尻が逆になっている二本のマッチ棒は、回転させて重ねれば同一のものだが、一次元人はそれに気がつかない
背中あわせになっている二つの直角三角形は、つまみあげて重ねれば同一のものだが、二次元人はそれに気がつかない
いずれも、その次元の人間に認識できないからだ。自分たちの世界に『回転』や『つまみあげる』といった行為や概念が存在すること自体、近くできないからだ

私たちは3次元の存在でタイムトラベルは4次元世界の現象です。実は今もタイムトラベル現象は起きていて、私たちがそれを認識できていないだけなのかもしれませんね。

って今さらだけどこれ何のブログだっけ……いいのかこれで

さあシェアしてごらん

コメント

  1. 名無し☆マギカ 2017/06/15(木) 11:30:01 返信

    記事の作りこみ具合はんぱねぇ

  2. 名無し☆マギカ 2017/06/15(木) 13:29:35 返信

    11の理論を見終わったときはなんか真面目なことを書こうとしてたけど、そのあと爆笑続きで書く気を失いました。ほんとこのサイト大好きです

  3. 名無し☆マギカ 2017/06/15(木) 13:37:17 返信

    キュゥべえの「ほむらはCもないじゃないか」ワロタ

  4. 名無し☆マギカ 2017/06/15(木) 16:26:05 返信

    ソウルジェムだけ時間遡行してるなら、ほむらは前の世界に死体を残して行くんだな・・・

  5. 名無し☆マギカ 2017/06/15(木) 16:36:55 返信

    ほむらは自分とまどかの因果だけは繰り越し可能な特異点にし、大量のパラレルワールドを作ってたんやね

    このシリーズためになるから好き

  6. 名無し☆マギカ 2017/06/15(木) 23:27:03 返信

    僕がまどマギにハマッた理由の一つも、時間次元とか因果律とかについて考えさせられる点でした
    だから、このシリーズ大いに期待してます
    どうぞ心行くまで書き切ってください

  7. 名無し☆マギカ 2017/06/21(水) 15:46:01 返信

    単純に面白い

  8. 名無し☆マギカ 2018/03/28(水) 21:03:03 返信

    パラレルワールドは時間遡行するたびにできるっていう論文を見ました。
    だから親殺しのパラドックスも、バタフライエフェクトもないんじゃないですかね?

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